日本では「墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)」に従って墓地が建てられていますが、亡くなった人の遺骨を必ずお墓に納めなければならないという決まりはありません。もちろん、遺体の廃棄や墓地以外への埋葬は違法になるのですが、骨を撒いて自然に還す「散骨」という行為は、一定のルールを守れば認められています。また、自宅などに保管する手元供養も問題はありません。
そうなると、「お墓を建てる義務はないのに、なぜお墓を建てるのだろう?」という疑問が湧いてきます。お墓は亡くなった人の遺骨を納める場所ということ以外に、「遺族にとって精神的な支えになる」という役割を担っていると考えられます。キリスト教や仏教など、宗教によって考え方は異なりますが、日本では「お墓には亡くなった人の魂が宿る」という共通の考え方が存在していました。故人の死後、次第に薄らいでいく故人の記憶を取り戻して、そのつながりを確認する心の拠り所としてお墓は存在していたのです。また、故人の死を悲しむことでつながる親族同士の架け橋的な役割、先祖から何代にも渡ってつながってきた命の尊さを教える教育的な役割までも果たしてきました。
「お墓参りが教育上も有効な行事である」という面白い調査結果があります。日本全国の男女の若者を対象に、お墓やお墓参りが子供に与える影響を確認するアンケート調査です。そこでは4つの結果がわかりました。 1、3歳以下からお墓参りをしていた人は「生命を大切にする心や美しいと感じる心が高い」 2、お墓参りの頻度が少ない人ほど、将来の夢や目標に向かって努力することに否定的で、自分に自信がない人が多い 3、お墓の購入時に何らかのかかわりを持った人は「難しいことにも挑戦する」チャレンジ精神が高い 4、小学校低学年頃までのお墓参りの頻度別に分けて結婚している割合を確認したところ、その頻度が高ければ高いほど結婚している人が多かった
このアンケートは墓石事業者が行った調査結果であって、墓石を売りたい気持ちを差し引いたとしても、ご先祖様を大切にする気持ちが何かしらプラスに働いているとは肌感覚でも感じられるのではないでしょうか?最近では、散骨や手元供養をはじめ、墓石を建てず、遺骨をお墓に納めないという選択をするケースも増えています。お墓を建てないことは建築費用の削減や土地の節約などメリットはありますが、お墓参りという古くからの慣習がなくなっていくというデメリットもあります。お墓参りにはその国の文化的な側面もあるために、日本ならではの精神性が失われ道徳感や倫理観が損なわれ鵜のではないか?と問題視されることもあるのです。現在の社会は昔よりも神様やご先祖様、魂といった考えを信じる人たちも少なくなってきたと言われています。そういった影響もあり、墓地そのものにはあまり意味を見出せず、より効率的な埋葬を行おうとする人も増えてきているのかもしれません。しかし、お墓は故人ではなく、むしろ残された人のために存在しているとも言えます。今を生きている私たちの内面を見つめ直すためにも、お墓参りを通じて気持ちを伝えるという行為は大切な意味を持つのではないでしょうか。「散骨山」の散骨なら、墓石を建てる費用をかけずに、故人が眠る場所でお参りをすることができます。
参考引用:「お墓の意味とは? 大人の学びなおしTV」 https://www.youtube.com/watch?v=kv9p03-mnh0
【葉山の谷戸へ山林散骨】
Copyright (C)【HANASAKAJISAN】2024-