多くの霊園では、人間とペットが同じお墓に入れないことがあります。全てのお墓ではありませんが、なぜペットと人間が同じお墓に入れないのでしょうか、理由は何なのでしょうか。ペットと同じお墓に入りたい場合にはどうすればよいのでしょうか。
飼い主であれば家族として一緒に過ごしてきたペットが亡くなった後は、当然のように自分と同じお墓、家族と同じお墓に入れてあげたいと考えるのは自然な流れでしょう。見た目は違っていても、心が通じる家族ですから、私たちもなるべくペットという表現さえ避けたいくらいです。ですが、残念ながら、多くのお寺ではペットと人間は同じお墓に入る事ができません。人間とペットが同じお墓に入れないのには、いくつかの理由や背景があります。それは、経営上の問題がひとつと、その背景に仏教の考え方があるからです。
お墓に関する決まりには「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)という法律があります。墓埋法には、人間とペットは同じお墓に入れないという記載はありません。法律に記載がないということは、人間とペットが同じお墓に入ること自体は、法的には禁止されているわけではないということです。
日本の法律では、ペットは「物」という扱いです。亡くなった後その遺骨を同じお墓に埋葬しようとする際には副葬品、故人のお気に入りの遺品や写真などを故人と共に埋葬される物という扱いになってしまいます。ドイツのように民法で「動物は物ではない」と明記されている国もありますが、日本の民法にはそのような記載はありません。動物は命ある生き物です。ペットが物扱いされてしまうというのは、ペットを家族の一員のように感じている飼い主からすると信じられないことです。
また、経営上の問題で、規約によって禁止されている場合もあります。世の中には人間とペットを一緒にすることに拒否反応を示す方もいるため、経営的にマイナスになることを危惧して規約上で禁止していることがあります。
仏教では六道輪廻という考え方があります。六道輪廻では「この世に生きるもの全てが六道と呼ばれる6つの世界に何度も生まれ変わる」と考えられています。現世での行いによって、来世で生まれ変わる世界が変わると考えられています。死後に生まれ変わる世界は6つあり、天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道があります。その中で、天道、人間道、修羅道が善、畜生道、餓鬼道、地獄道が悪と言われています。畜生道は、動物、鳥、昆虫の世界。生前の悪行の「むくい」により死後に落ちる世界であるとされています。弱肉強食の世界で、常に殺されるかもしれないという恐怖心を持ちながら生きる世界です。
多くの寺院や霊園では「動物は人間と違う世界に進むので、あの世で再会できることはない。」と説明される場合もありますが、次に生まれ変わるのが人間とは限らないのだとしたら、区分けするのはもっと理不尽なことであるように思えてしまいます。そもそも、DNAでは人間と犬や猫の遺伝子の類似度は90%ですから、生物学的に見てもそんなに大きな違いはありません。
★「散骨山」では、すべての場所で、人間と動物の区別はしていません。社会一般の考え方に合わせて、人間よりも動物たちの価格を低く設定していますが、人間も動物も扱いは同じです。それは人間を粗末に扱っているのではなく、あらゆる生きとし生けるものの弔い方も人間と同じように丁寧に扱っていくという方針に沿ったものです。ご理解いただけない場合があることは承知しておりますので、動物と一緒では嫌だとお考えの方にはご遠慮いただいております。悪しからずご了承くださいますようお願い申し上げます。 |