カトリック教徒の多いフランスでは、火葬率は未だに30%程度ですので、まだまだ土葬が一般的なスタイルです。ただ、世界的な大きな流れの中で、「火葬して散骨するという葬送方法」がどんどん広がっていますので、フランスでも散骨葬が増えています。フランスには、すでに、火葬場に併設する森や公園などの環境が整っています。そこで、儀式を執りおこなったり、散骨したりすることができるようになっています。フランスでは都市部の有名河川や、セーヌ川での散骨は禁止されています。
フランス・パリの地下には、史上最大の地下墓地としられる「カタコンブ・ド・パリ」があるのをご存じでしょうか?現存する地下墓地には、今も600万体の遺骨が収納されており、観光名所にもなっています。これは、パリ市内にあった大規模墓地を閉鎖した際に発掘された遺骨の移転場所で、パリの地下20mの場所にあり、全長はおよそ1.7kmです。正式名称をロシュエール・ミュニシパル(l'Ossuaire Municipal)といいます。お化け屋敷のような様相を呈していますが、あくまで市営納骨堂です。大腿骨を均一に並べてレンガのように積み上げ、頭蓋骨はその間にポイントのように一列に配置されています。壁一面にハート型のアウトラインに沿って頭蓋骨が埋め込まれていたり、中央の柱が骨を用いて樽状に慎重に配置された円形の部屋があったりもします。その並べ方はまさに芸術とも呼べるほど圧巻で、リアルな遺骨で作られたアートです。「カタコンブ・ド・パリ」は意図的に作られた芸術空間なのです。
12世紀の初め、パリでは教会に埋葬料を払えない人々のための中央集団埋葬墓地「サン・イノサン墓地」が開設され、パリ市民の遺体、死体安置所からの遺体を埋葬していました。化学的な腐敗を早める目的でしばしば土に石灰をまき、直接遺体が埋められました。戦争、疫病、飢餓によって、たくさんの死体が埋められたことで、18世紀の終わりには、この集団墓地は通りよりも2m以上高くなっていたそうです。これが安全上の問題を引き起こし、周囲の環境を悪化させました。当時の文献によると、「ワインは一週間たたないうちに酸っぱくなり、食べ物は数日で駄目になる。井戸水は腐敗した物質で汚染され、使用するにはますます不向きである」と記載されています。1765年、パリ高等法院はパリ市内での埋葬を禁止し、集団墓地から骨はすべて掘り起こされることになります。そして、もともと採石場だった地下の空洞を活かして、「カタコンブ・ド・パリ」が出来上がりました。
【葉山の谷戸へ山林散骨】
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