中国政府も明らかに散骨を奨励しています。中国政府民政部は、全国法である殯葬管理条例の改正案(葬儀や埋葬などを扱う法律)を発表し、散骨を優遇する方針が改めて明確になりました。中国人民広播電台(中国人民ラジオ)によると、「散骨の場合には政府の補助金により個人負担がゼロになる。一方で、土葬については規制が強化される。」と報道されました。
殯葬管理条例の改正案では、火葬と土葬について「人口が稠密、耕地が少ない、交通が便利な地域では火葬を実行する。火葬の条件が整わない地域では暫定的に土葬を許す」と明記されたようで、これは、「将来は土葬を全面禁止にする」との含みを持たせたものでした。
中国人にとって、先祖崇拝は極めて強い伝統概念でした。家族が他界すれば土葬にして、子々孫々まで未来永劫に大切に祭ることが理想でした。その一方で、中国共産党は唯物主義の観点から、先祖の墓を大切にするという封建的迷信に対して冷ややかな対応を示しています。かつては魂の帰る場所として神聖視されてきたお墓だけでなく、中国人のしきたりや伝統までもが大きく変わろうとしています。
過去中国では、周恩来や鄧小平の遺骨が散骨されていましたが、2022年には、江沢民元国家主席の遺骨が海に散骨されたことで、ますます散骨を奨励する動きが表れています。
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