粉骨は火葬後のご遺骨(焼骨)を粉末状にする行為です。遺体の取扱いについては刑法に「死体損壊罪」という罪があるため、粉骨は遺体損壊罪に該当しないのかという疑問が生じます。粉骨は遺骨を粉末状にすることですから、刑法第190条死体損壊罪の「遺骨」を「損壊」することに形式的には該当します。一方、散骨や自宅供養のために粉骨することについて規定している法律はありません。散骨という葬送方法が世間に広く知られている現在においても、散骨を正面から扱った法律は日本には存在しません。そのため、形式的に遺体損壊罪の犯罪構成要件に該当する粉骨が、法令による行為として刑法第35条によって違法性がなくなるとする根拠はありません。
しかし、散骨については非公式ながら法務省の見解があります。1991年に法務省刑事局は「葬送のための祭祀として節度をもって行えば違法ではない」との見解を示したといわれています。つまり「葬送のための祭祀として節度をもって行えば」散骨が犯罪になることはないということです。
遺骨の形状を残したまま散骨することは違法です。しかし、遺骨の形状を残さない状態で散骨することは違法ではありません。3段論法で考えるなら、粉骨は違法ではないということになります。すでに日本においても多くの粉骨業者や散骨業者が存在しており、堂々と営業活動を行っています。既得権益は守らなければなりません。急にそれが違法だとなれば、法人は倒産し、それに従事してきた人たちも路頭に迷うこととなります。そうすることは、社会の混乱を招きます。世界的な流れを見ても、散骨は奨励されるべきものとして、国を挙げて盛んにプロモーション活動が行われています。日本だけが世界的な潮流に逆らっていくことは現実的に考えられることではありません。
【葉山の谷戸へ山林散骨】
Copyright (C)【HANASAKAJISAN】2024-